2011年10月29日

『アメリカンチェリー』

キャンデーを舐めていた
細胞に力を与えてくれることを願いながら
乾燥した空気に喉をやられてしまったのだ
銀の皿にイチジクとアメリカンチェリー
それらを見つめているだけというのが
僕の数ある仕事の一つ
報酬は棒切れと最新のサンプラー

明日は
犬達と仲良く出来るか心配になって来た
そもそも地図どうりに現地にたどり着けるか
心配だ
出発の時間も早いし もうヒゲを剃ってしまおう

エレンさんヒゲを添ってしまいたいのだけれど
ひげ剃りナイフはどこにありますかね
返事が無い
歯ブラシの近くにおいてありましたっけ?
やはり返事は無い

ああ そうか 
エレンさんはこの時間 習い事だったかな

ヒゲを剃ることを諦めた僕は
シャンデリアにぶら下がる
おじいさんとおばあさんの世話をすることにした

おじいさん また本読んであげますよ
背表紙が緑で 79ページにお星様が描かれている本
ちょっと取りに行ってくれますか 店まで
おじいさんとおばあさんはシャンデリアから降りて
渋々店まで出かけて行った

よし これでこの家には僕一人
どんな悪いことをしても誰も注意なんて出来ない
さて 何をしてやろうか・・・

犬の目

明日芝生の上で出会う とびきり優しい目
僕だけを見つめてくれる
そんな目で見られたら 僕は悪いことなんてできないよ
そのままソファーに倒れ込み目を閉じる

僕は知っているんだ
この砂丘の楼閣で
ゴシック体の空が割れ
巨大な腕が
地上に迫っていることを

その上で 今何をすべきかを冷静に
冷静に・・・




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2011年10月28日

『新しいゲーム』

羽音で目を覚ます
暗闇の中で何かが宙を
舞っているのは分かる
よろよろと立ち上がり
蛍光灯の紐を引っ張る
目映い光に照らされ
空中に浮かび上がった物体に驚愕した
それは紛れも無く小さな人
正確には羽の生えた金髪の少女
妖精かしら・・・
ひらひらと飛ぶその妖精は
ニヤリとした表情で俺に目を向ける
「私が此処に来たということは
あんたは選ばれたの
もうすぐ楽しいゲームが始まるは」

「GAME?」
「そう、楽しいゲーム 
今から20秒後にアンタを
フィールド093に転送するは
武器の持ち込みは一つだけよ」

俺は一瞬のうちに悟った
いわゆるGANTZみたいな展開ね
それなら・・・
俺は現代アート作品として作った
鋼鉄のバルタン星人の右腕を装着し
転送を待った

「それじゃあ転送に入るわよ
3・2・1 それっ!!
「・・・・・」

しかし何もおこらなかった
当たり前か
妖精もそこには居らず
全裸でバルタン星人の右腕をした
俺の姿が鏡に移っているだけだった

寝よう
だが一回覚めてしまった目は
なかなか寝付けない
ミドルテンポのストナーロックを部屋中に流し
体を揺らす
そんなことを20分程度続けていると
再び妖精が姿を現す

「もうゲームは始まってるんだから
あんたも、外に出て戦いなさいよ」
俺はカーテンを開け外を覗き込む
無数のケミカルライトのようなカラフルな発光体
が蠢いている
目を凝らしよく見てみると
それは
等身大のイカが
プレーヤー達と戦闘を繰り広げている光景だった

「あんたもアレと戦うのよ 4匹が今日のノルマよ」

4匹倒したらお姉さんは俺に何をしてくれるだい
「別に何もしないわよ」

「キスしてくれないか 俺のモバイルフォンに」

「絶対やだ」

「それじゃあ俺は戦わない 
今夜はこうして君とおしゃべりをして過ごすよ
俺はこんなゲームより 君自身に興味があるんだ」

 バカじゃないの 
アレを今夜中に4匹仕留められなかったら
アンタ2000万の負債を負うのよ

 それでもいい
君との会話に2000万は安いよ

 勝手にすれば

ありがとう
俺のなかではゲームクリアーだね




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2011年10月17日

『sickness』

こん棒もって街中を駆け回る
僕の兄の目撃者多数
6年2組 僕のクラスでも
この話題ですっかり 持ち切り

頭には豆絞りの手ぬぐい
あとブリーフというシンプルな出で立ち
二十歳 過ぎの兄は 丸2ヶ月
そのスタイルを続行中

登校中 ぼくもそんな兄を
何度か見かけたことはある
しかし いつだって他人のふり
そのことを最近、悔やみ出してきた

その 奇妙な行動は 兄が
狂っているものだと ばかり思っていた
しかしどうやら兄は
現代アートというものに目覚めたらしく
この行動は社会に対する 
表現であり 作品だと 力説
僕には 難しい話だが 
何となく兄が正しく思えた

それまでの兄は丸8年間 
引きこもりで 無気力だった 
そんな兄をここまで変えた
現代アートとは一体何だ?

お金や宗教、スポーツ以外で
此処まで人を変えられるものか

そのことをおじさんに話すと
きみの兄さんは現代アートを
まったくもって馬鹿にしている
そんなものはアートじゃない 
悪ふざけ以外 何者でもない
一発殴ってやらないと気がすまない
そう言っておじさんは 
兄を探しにすぐに街へ出た

そして おじさんとぼくは 
街一番の おしゃれ通りに到着
14.5.6の少女達集まる 
ドープでマッシブな一角を発見
その中心 ブリーフで瞑想する男 
まぎれもなく兄だ
おじさんは兄のもとに走り 
拳を勢い良く振り下ろす
兄は無抵抗主義を貫き 
気絶する直前で 僕を凝視
やがて警察が駆けつける 
おじさんと兄はすぐに連行

その日の夜 昔 兄が僕に 
虫をくれたことを思い出した
その虫は暗闇で 
淡いみどりの光をいつまでも放っていた




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posted by bool at 08:56| Comment(0) | 現代詩朗読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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