2012年04月03日

『ぶら下げる』

サクランボのヘタを指でつまみ
実をぶらぶら、ぶら下げて俺は会社に出社した
同僚達の反応は薄い
やはりこれくらいでは、みな気を止めない
それくらい日々の業務に追われている
そりゃ、全裸にルチャリブレのマスクを被り
手足をそろえて行進するくらいのことをやれば
社内も大騒ぎだろう・・・
だが、俺は別につかまりたいわけじゃない
挑戦したいんだ
サクランボのヘタをぶら下げながら出社することで
日常に小さな変革を起こせるかどうかを
明日も俺はぶらぶら、ぶら下げるつもりさ

二日目、俺はまた緊張しながらサクランボを
ぶら下げながら出社した
相変わらず、周りの反応は何も無い
とうとう俺は自分の席に着いてしまった
ここで終わりかとサクランボを
引っ込めようとした時
隣の席の派遣で来ている女性が
「おはようございます」
と俺にあいさつをした
俺も「おはようございます」と返した
そのとき、サクランボを3拍子で
小刻みに揺らしてみたんだ
俺はPCを立ち上げながら
横目ですかさず、彼女を確かめる
あ!!
俺は驚愕した
彼女の口元はくるりの曲を口ずさんでいる
題名は忘れたが紛れも無く三拍子の曲
とうとう、サクランボをぶら下げた結果
日常に変革をもたらしてしまった

調子にのった俺は、席を立ち、トイレに
向かうときにもサクランボを持参することにした
小便器の前に来て俺は迷った
このサクランボを
ぶら下げたままでは用が足せない
そこで サクランボのヘタを口にくわえ
用を足すことにした
脳がゆっくりと回転をはじめるこの感覚は・・・
はずかしい なんだか急にとても恥ずかしくなって来た
来るな 今俺の隣の便器を利用するな
誰かに こんな姿を見られてしまったら・・・
俺はそう思って くわえていたサクランボを口に含んだ
でも、飲み込んだ訳じゃないぜ
トイレから出る時には
また口からサクランボを吐き出し、ヘタを指でつまみ
席に戻った
それ以降、トイレにサクランボを持ち込むことは
やめた

3日目、サクランボがもう家になかったので
一本のうどんをぶら下げることで代用することにした
朝日を浴び うどんは楽しげに揺れるのだった
結局いつもこうだ
最後には希望しかのこらないんだ

http://boolpod.up.seesaa.net/image/burasageru.mp3

posted by bool at 01:25| Comment(0) | 現代詩朗読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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