2012年11月25日

『狐大学生』

俺はかっこいい大学生
人一倍意識は高い
全裸で街を闊歩する
今年で28歳 
就活はしない
俺にはコネクションがある
アートディレクターの高本念太郎さん
WEBのプロデューサーの指にぃ
DJでアパレル会社やってる
Mr.トムゴディー
俺が大学を卒業した暁には、
俺に仕事をまわしてくれるはずだ
彼らとはクラブで知り合った
俺の周りには面白れー
大人が大勢集まってくる
俺の才能を見過ごせないのだろう
俺は本物だ オンリーワンだ 

この大学生、
一見勘違いをしているように見えて
彼は間違いなく本物だった
彼はどんなときも全裸で街に現れた
ブティック、クラブ、カフェ、居酒屋 
彼は時と場所を選ばず全裸
それが彼のスタイル
彼の魅力には国家権力も手を出せなかった
彼は間違いなくカリスマだった
だが彼には大きな悩みがあった
女性に全く相手にされないのである
彼に声をかけるのは男性ばかり、
女性からの視線は常に冷たいものだった

俺は女性にもてない
俺の心の闇をだれは聞いておくれ
大学生は路地裏で膝を抱える
「はい、私が聞きましょう」
一匹の狐が大学生の前に現れた

大学生 
「狐さん俺はどうしたらいいんだい」
狐「コンコンコン 女性はね
可愛いもの 甘いもの 
太いもの 固いものが
好きなの あなたも狐になりなさい」
狐はピンクのキャミソールを足に引っ掻けって
大学生ににじり寄る
大学生「はひぃぃー」
大学生は絶頂を向かえたような表情を浮かべ
狐になることを決意した
その日から彼は街から姿を消し 
山へと消えた

それから2年後 
彼はまた再び街に帰ってきた
かろうじてまだ大学生だった

女性にもてないという彼の心の闇
狐になるという目標
それらに対しての ひとつの答えを彼は
今、此処に示した
 
大学生は黄金の全裸になっていた

そう、汗ばんだ彼の全身には
金箔がまんべんなく塗られ
金色の光を放ってる
そんな彼をみようと街の広場に
続々と人が集まってきた
物珍しげに指をさす若い男女
ありがたいものをみるように 
拝み続ける老婆
人だかりに便乗し、
利権を主張するデモを行う団体が複数
モニャモンという漫画の着ぐるみを来た、
黄色い集団
とうとう機動隊も出動した
彼を中心に、街は騒乱に包まれた

おや、彼の前に一人の少女が現れた
彼女の髪はピンク
服装はパジャマ
彼女は大学生に語りかける
「私はあなたが憧れるような会社の代表よ
  特別にたった今から面接試験を始めるは」
大学生
 「光栄です 始めちゃってください」
女社長
 「弊社への志望動機をおねがいします」
大学生
 「御社の女子社員がみな美しいからです」
女社長
 「それには私もはいるのかしら?」
大学生
 「はい、もちろん」
女社長
 「うれしい
 でもあなたを弊社に採用出来できません」
大学生
 「わかっています 
 社会はそんなに甘くことくらい」
女社長
 「そのかわり
 私があなたの彼女になってあげるんだから」
大学生は柔らかな微笑みを浮かべたと同時に
その場に崩れ落ちた
全身に塗られた金箔は彼の
皮膚呼吸を完全に奪ったのだ
 
山の上で煙があがってる
きっと狸かなんかが、芋をふかしているのかな


posted by bool at 22:44| Comment(0) | 現代詩朗読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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