2012年10月20日

『どんぎまり』

都心より離れた 格調高い旅館
その対談は今始まろうとしていた。
「童貞対談」
100帖ほど
畳が敷かれた大広間に
5、6十人のブリーフ部隊
が円を描き正座している
その円の中央には
飴太郎と古智教授が向かい合って
パイプ椅子に腰掛けている
飴太郎「何故、我々は時として、童貞でもないのに、
童貞であるかのような言動をしてしまうのでしょうか?」

古智教授「まず第一に言えることは、
童貞のふりをしつつも本当は
童貞でないという、そういう優越感をえたいんですよ」

飴太郎「優越感・・・ 
もしある童貞のグループがあるとして
その偽童貞は、表面的に話を合わせつつ、
 本心ではこいつらより
は上であると思ってる、そういうことですかね」

古智教授「そうです、そういう理由が
大半だと思うんですよね
 でもそれだけじゃないと思うんですよ」

飴太郎「それだけじゃないといいますと?」

古智教授「まだ夢を語りたいんですよ
 童貞を捨てるということは、
生身の女性と実際に
性行為を体験するわけですね
毎日一人でしこっていて 
夢にまでみていた
その体験をする
しかしそれと引き換えに
夢が現実になるわけだ
男っていうのはね、
おかしなもので、夢と現実どっちが
魅力的かっていったら
やっぱり夢なんですよ」

飴太郎 
「なるほど、童貞ぶるという行為の裏には、
現実よりも夢をまだみていたいという
ポーズの現れでもあるんですね」

古智教授「飴太郎さん、僕はね 
この『童貞ぶる』という行為
は決して悪いことだとは思わないんですよ。
実際、そういうスタンスの文学や音楽では、
すばらしい作品がいっぱいある。
問題なのはね、
『童貞ぶる』という行為の否定ですよ
あいつは、童貞じゃないのに
童貞のふりををしてる、
童貞の敵だ!! 
やっつけろーっていう流れが一番怖いんです。
 そこからは、文学は生まれません
 実は宝くじで1億円あたったやつが、
一億円あたったらいいのにな〜と
何にも知らない人たちの前で言う 
それは悪だと僕は思う
でも、『童貞ぶる』という行為はまた再び、
女性という神秘
を同士たちと語り合いたい、
という純粋な思いからくるんですよ。
それは、冒険者たちが、
夢を語り合うことと変わらないんです
そりゃあ、生粋の童貞に対して、
若干上目線になってしまう
ところはありますよ、
でも
それはほんの小さい問題じゃないですか」

飴太郎「『童貞ぶる』という行為に
確かに悪意はなさそうですね」

古智教授「そう、悪意はないんですよ、
ただ純粋に、童貞っぽい
発想ってすごくおもしろいでしょ
クリエイターと言われている人たちなんて
99%「童貞力」を信じてますから、
よく『童貞ぶる』発言をしますよ
しかも3流、4流よりも、1流ほどね」

飴太郎「話は変わりますが、
古智教授は現在、自宅に常勤の無職
でいらっしゃるのに、何故、
「教授」と偉そうに名乗られているんですか?」

古智教授「その話は今回の議題に全く関係ないですよね
 僕は、その質問には答えたくないな」

飴太郎「よークズ
さっきから偉そうに、
下らない御託ばかりならべやがって
てめーを今日ここに呼んだのは、
こんな対談やるためじゃない
ことぐらいわかってるよな」

古智教授「わかってる 僕がここに
 呼ばれた真の目的は、魔法の試験だね」

古智教授は、リュックサックから 
スコップと豚足とスペードのエースを
取り出し丁寧に畳に並べた
    


posted by bool at 02:46| Comment(0) | 現代詩朗読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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